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コラム
改めて3シーズンスーツのお話
毎年秋シーズンになると、「3シーズンのスーツを仕立てたい!」というご注文が多くなってきます。
秋から冬にかけて温度が下がり、段々と風が冷たくなりますが、秋?冬?春の3シーズンをそのまま過ごすことができるため、とても人気があります。
特にクールビズ期間にスーツを着用する機会のない方にとっては、コートを羽織れば最も寒い時期もなんとかしのげるため1年を3シーズンのスーツで通してしまうそうです。
また、冬の東京の満員電車は暖房が効きすぎて厚手の生地のスーツでは具合が悪くなってしまうというお話もよくお聞きします。
当店では3シーズンのスーツのご注文時、表面が起毛されていないクリアカットの生地で
- 1mあたり260g?300g付近の綾・朱子織り
- 1mあたり280g?320g付近の平織り
の生地をお選びし、おすすめしています。
3シーズンの生地として、日本のオーダースーツで最も使用されている生地ではないかと思われるのがカノニコの "Super 110's / 260g" でしょうか。
カノニコが生産する同じSuper 110's 原毛を用いた生地でも実は様々なウェイトの生地があり、湿気が少なく冬が寒いイタリア本国では春夏物の扱いに入ることもありますが、日本の秋冬春シーズン用には最適ということで、この260gは非常に人気があります。
同様に他のメーカーも傾向の近い生地を生産の中心に据え、様々なクオリティの生地が提案されています。
ホーランド・シェリーの "Target" や "Snowy River"、ロロ・ピアーナの "Eleganza" や " Wish"、チェルッティの "Nobility"、Dormeuilの "Amadeus 365" など、各メーカーの主力生地が揃います。
これらの生地は、昔ながらの仕立てが「パリッ」とした、しっかりしたスーツに向く生地ではありませんが、世界的な傾向である軽く柔らかい仕立てでフイットしたスーツをお好みの方には最適な生地であるといえます。
また、ほとんどの生地が横糸に単糸を用いた生地のため、光沢が出やすく上品な質感が得られるのも選ばれる理由でしょう。
もちろん、こういったウェイトや織り方までご指定いただく必要は全くなく、3シーズンのスーツで、予算がどのぐらいで、色柄、軽い、柔らかい、しっかりしている、光沢が強い、弱い、伸縮性が高い、丈夫などご希望をお伝えくだされば、最も適した生地をお選びいしています。
今現在でいえば、最も標準的でクセのない生地だと言えるため、デザイン上の向き不向きはあまりありません。
3シーズンのスーツを仕立てる場合に最もお客さまが悩まれるのは、裏地を総裏(内側の裏地を全て付ける)にするか背抜き(背中部分の裏地を付けない)のにするかという点。
自分は年間通して背抜き、総裏と決めてある方もいらっしゃいますが、その都度決める方の場合はスーツの適応シーズンのバランスをどのようにするかで悩まれるのです。
考え方としては、もちろん背中の裏地を付けなければ通気性が高まりますので、冬は我慢することになりますが、春や秋シーズンへの適応が高まります。
また、暑がりで冬でも汗をかく方もいらっしゃいます。とはいえ冬に夏物を着るわけにもいかないので、そういった方は3シーズンのスーツで背抜きの仕立てをお選びになります。
ただ、そもそもなぜ裏地が付いているのかという点から考えてみると、理由は着用時に背中の滑りを良くするため、また裏地と表地の2枚になるため背中にシワが入りにくくなります。
裏地1枚分では、極端に通気性が損なわれることはありません。(もちろんポリエステルの裏地かキュプラの裏地かで変化します。)
夏のクールビズが定着し、その期間にスーツを着用することがないのであれば、しっかりとしたスーツに仕上がる総裏もお勧めです。
お客さまご自身の着用環境を考慮の上、お申し付け下さい。